2007 Fiscal Year Annual Research Report
食嗜好・食行動に果たす食品色彩の役割について-食育実践の試み-
Project/Area Number |
18700604
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
村上 陽子 Shizuoka University, 教育学部, 准教授 (40284335)
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Keywords | 食品 / 食嗜好 / 色彩 |
Research Abstract |
食品の嗜好的価値の中で、形、色、つやを含めた外観特性は視覚によって物理的に感じられる味であり、直接の味、舌で感じる味(特定の科学構造をもつ物質がもたらす味)とは異なる。食物の必要条件である可食かどうかのレベルの判定、鮮度の判定、適否・優劣を判断するにも五感による判定ぼ有効であり、特に外観特性は国、人種を問わず重要な因子となる。中でも、色のもたらす心理的要素は非常に木さい。食品の色、すなわち物体色は内容の判断にまで影響を及ぼす。実際、人は色で食材の鮮度のみならず、料理の火の通り具合、味わいなどを判断する。 食における色の効果を大切にしてきた我が国には、和菓子という伝統的な菓子がある。特に和菓子のもつ色の多様性は注目に値する。季節感を表現する和菓子においては、色の配色、濃淡など色彩に関して繊細な心遣いがなされており、それが食べる人の食欲に大きな影響を及ぼすと考えられる。 一方、現代社会においては、食生活の洋風化により、和菓子の喫食頻度は減少傾向にある。子どもの頃から和菓子にふれる機会を持つことは日本の伝統にふれることであり、食経験を深めることに繋がる。また、子どもは色に対する興味が強いとされることから、子どもが豊かな色彩感覚を養うためにも、多種多様な色を持つ和菓子は有効な食材といえる。そこで、幼児における和菓子の嗜好性および食育教材としての効果を検討した。その結果、色を工夫することで、和菓子に対する興味が喚起されること、また子どもを通じて保護者を交えることでその家庭全体における和菓子に対する意識、食に関する意識の変容が可能であることが示唆された。
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