2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生抑制作用を有する抗酸化成分によるメタボリックシンドローム発症予防の検討
Project/Area Number |
18700608
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
松原 主典 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助手 (90254565)
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Keywords | メタボリックシンドローム / 肥満 / 血管新生 / 抗酸化作用 / 血管内皮細胞 / 脂肪細胞 / 胚性幹細胞(ES細胞) / 食品 |
Research Abstract |
近年、食生活の変化や交通機関の発達により、摂取エネルギー過多と運動不足により肥満が増加している。肥満による糖尿病、高血圧、高脂症などと共に、これらの疾病が重複するメタボリックシンドロームが深刻化している。メタボリックシンドロームを予防するには、その要因となる糖尿病や高脂症、更には肥満予防が重要である。肥満予防機能を有する食品成分として、血管新生抑制作用を有する成分が注目されている。そこで、高血糖状態による活性酸素障害も予防し、肥満抑制にも繋がる可能性を有する食品成分について検討した。 ポリフェノール・カロテノイド類は強い高酸化作用を持つことから、活性酸素障害から細胞を守る物質として注目されている。しかし、血管新生抑制作用を有するカロテノイドについては報告が極めて少ない。そこで、カロテノイドについてラット動脈片を用いた血管新生測定系でスクリーニングした。その結果、昆布、ヒジキ、ワカメといった褐藻類に含まれるフコキサンチンに強い血管新生抑制作用を見出した。フコキサンチンの代謝物であるフコキサンチノールにも同様に血管新生抑制作用があることも見出した。 フコキサンチンの血管新生抑制作用機序についてヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞(HUVEC)を用いて検討した。フコキサンチンは、HUVECの増殖と再構成基底膜状での管腔形成を阻害することにより血管新生を抑制することが示された。また、マウス胚性幹細胞(ES)細胞からの血管形成と脂肪細胞分化への影響を検討したところ、ES細胞からの血管形成と脂肪細胞分化を抑制することが明らかとなった。 以上の結果から、強い高酸化作用を有するフコキサンチンは肥満予防やメタボリックシンドロームの発症に予防的に作用する可能性が示唆された。なお、フコキサンチンによる肥満予防は動物実験による報告があるが、血管新生抑制作用による可能性を示したのは、本研究が最初である。
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[Journal Article] Antiangiogenic activity of brown algae fucoxanthin and its deacetylated product, fucoxanthinol.2006
Author(s)
Sugawara, T., Matsubara, K., Akagi, R., Mori, M., Hirata, T.
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Journal Title
Journal of Agricultural and Food Chemistry 54
Pages: 9805-9810