2006 Fiscal Year Annual Research Report
飲水中残留塩素による卵白アルブミン特異的免疫反応の誘導:塩素と食物アレルギー
Project/Area Number |
18700614
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
若林 あや子 日本医科大学, 医学部, 助手 (30328851)
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Keywords | 塩素 / 卵白アルブミン / IgG2a / IgG2b / 遅延型過敏反応 / Th1 |
Research Abstract |
今年度は、塩素の経口摂取が卵白アルブミン(OVA)特異的免疫反応に及ぼす影響を、マウスを用いた実験で調べた。塩素を0%、0.1%または1%含んだ蒸留水0.5mlを5日間マウスに経口投与した後、OVAを水酸化アルミニウムアジュバントと共に2回腹腔に免疫した。その後、マウス血清中の抗OVA抗体価をELISA法により測定すると共に、OVA特異的な遅延型過敏反応(DTH)を測定した。塩素を投与したマウスの抗OVA IgG2aとIgG2b抗体価、およびDTHは、塩素を投与しなかったマウスに比べて高い値を示した。またこれら抗体価とDTHの上昇の度合いは、塩素の投与量に依存していた。一方、塩素を投与したマウスの抗OVA IgG1抗体は、塩素を投与しなかったマウスに比べて低い値であった。次に、OVAを腹腔でなく経口免疫した場合の、塩素の経口摂取の影響を調べた。塩素を0%または0.1%含んだ蒸留水を9週間マウスに自由摂取させた。その間、OVAをコレラトキシンアジュバントと共に3回経口免疫し、マウス血清中の抗OVA抗体価を測定した。OVAを経口免疫した場合でも、腹腔免疫した場合と同様な免疫反応を示し、塩素を経口投与したマウスの抗OVA IgG2aとIgG2b抗体価は、塩素を投与しなかったマウスに比べて高い値であった。また、塩素を投与したマウスの抗OVA IgG1抗体は、塩素を投与しなかったマウスに比べて低い値であった。 以上より、塩素を高濃度に含む水を摂取した場合、Th2型の免疫反応よりも、むしろ、食物抗原に対するIgG2a抗体産生や遅延型過敏反応といったTh1型の免疫反応が優位に誘導される可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)