2007 Fiscal Year Annual Research Report
飲水中残留塩素による卵白アルブミン特異的免疫反応の誘導:塩素と食物アレルギー
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18700614
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
若林 あや子 Nippon Medical School, 医学部, 助教 (30328851)
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Keywords | 塩素 / T細胞 / 卵白アルブミン(OVA) / 浄水場 / 遊離残留塩素 / 結合残留塩素 / 食物アレルギー / アトピー性皮膚炎 |
Research Abstract |
今年度は、塩素の経口摂取がタンパク抗原特異的T細胞の反応に及ぼす影響を、昨年度に引き続きマウスを用いて研究した。また一方で、実際の浄水場からの距離と水道水中の残留塩素濃度およびpHとの相関を調べた。更に調査研究により、浄水場からの距離とアレルギー疾患の発症率を調べた。 塩素を0%または0.1%含んだ蒸留水を8週間マウスに自由摂取させ、その間、卵白アルブミン(OVA)をコレラトキシンアジュバントと共に3回経口免疫した後、脾臓を摘出した。そしてこれら臓器から精製したT細胞におけるOVA特異的な増殖反応を、テトラゾリウム塩(MTT)法により測定した。塩素を投与したマウスの脾臓T細胞のOVA特異的な増殖反応は、塩素を投与しなかったマウスに比べて有意に高い値を示した。 また、浄水場からの距離が長くなるにしたがって、水道水中の遊離残留塩素および結合残留塩素は低くなり、pHは高くなる傾向がみられた。次に、浄水場からの距離と食物アレルギーの関係を調べた。20代女性を対象にアンケート調査を行い、浄水場から10km未満、10km以上20km未満、および20km以上の地域に住んでいる女性における、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の発症率を調べた。その結果、食物アレルギーの症状を呈したことがあると答えた女性は、浄水場から近い順に、11.1%、5.6%、0%であり、一方、アトピー性皮膚炎の症状を呈したことがあるであると答えた女性は、30.6%、11.1%、0%であった。従って、浄水場に近い程、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の発症が高くなることが示唆された。花粉症とぜんそくにおいても同様な傾向がみられた。 以上より、動物実験においては、塩素の経口摂取により抗原特異的T細胞の反応が有意に高くなること、また調査研究においては、浄水場に近く、水道水中の塩素濃度が高くなるに従って、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の発症率が高い傾向が示された。
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Research Products
(4 results)