2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18700616
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Research Institution | Tsu City College |
Principal Investigator |
阿部 稚里 三重短期大学, 生活科学科, 講師 (10351214)
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Keywords | ビタミンE / 脳 / ラット |
Research Abstract |
ビタミンE同族体の体内分布は、肝臓に存在するα-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)に起因することが示唆されている。また、α-TTPは肝臓以外の組織にも存在し、脳にも存在することが知られている。そこで、α-TTPとの親和性が高いα-トコフェロールと他のビタミンE同族体を投与し、α-TTPとの結合に競争阻害を起こした場合に、脳内のビタミンE同族体濃度が異なる可能性を検討した。 ビタミンE無添加飼料を4週間摂取させたビタミンE欠乏ラットに、γ-トコフェロール10mgまたはα-トコトリエノール10mgおよびγ-トコトリエノール14mgを胃内に投与した。また、α-TTPとの親和性が最も高いα-トコフェロールを1mgまたは10mg同時投与した。投与後8時間または24時間で屠殺し、脳を摘出してビタミンE同族体濃度を測定した。 その結果、投与後8時間において、脳中のγ-トコフェロール濃度は、α-トコフェロール1mg同時投与した場合には有意な低下は見られず、α-トコフェロール10mg同時投与した場合には有意に低下した。α-トコトリエノール濃度は、α-トコフェロール1mg同時投与した場合に著しく低下し、α-トコフェロール10mg同時投与した場合には検出されなかった。また、γ-トコトリエノールは14mg投与したにも関わらず、検出されなかった。投与後24時間において、どのビタミンE同族体投与においても、α-トコフェロール投与による有意な変動は見られなかった。以上の結果より、γ-トコフェロール濃度もトコトリエノール濃度もα-トコフェロールの同時投与によって低下することが明らかになった。しかし、その低下の度合いはビタミンE同族体間で異なり、脳のビタミンE同族体濃度に及ぼすα-TTPの影響が、ビタミンE同族体の立体構造の違いによって異なる可能性が示唆された。
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