2010 Fiscal Year Annual Research Report
伝統主食栄養源、全粒小麦とリグナンの生活習慣病予防効果に関する基礎的・臨床的研究
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18700624
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Research Institution | Research Institute for Production Development |
Principal Investigator |
相良 未木 (財)生産開発科学研究所, 予防栄養医学研究室, 研究員 (00333287)
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Keywords | リグナン / 小麦全粒粉 / 生活習慣病 / 介入研究 |
Research Abstract |
リグナンは全粒小麦、アマニなどに含まれ、大豆イソフラボンと同様植物性エストロゲンである。大豆イソフラボンは肥満を予防する働きや、血圧やコレステロールの上昇を抑え心筋梗塞の原因となる動脈硬化を予防する働き、ホルモン過剰が引き金となる前立腺がん、乳がんを予防する働き、骨粗鬆症を予防する働きなどがあると考えられ、循環器疾患はじめ生活習慣病の予防に非常に効果がある。しかしリグナンはイソフラボンほど研究が進んでいないのが現状である。そこで、リグナンにイソフラボン同様の効果があるかを検討するのが本研究の目的であり、本年度は、食生活の乱れが問題となっている13~18歳の女性41名を対象にプラセボ対照試験を実施し、4週間、全粒または精白小麦粉いずれかを用いたクラッカー、クッキーを朝食および間食に食べてもらい、生活習慣病によるリスクの軽減効果を調べた。その結果、全粒粉群の24時間尿中リグナン排泄量には増加傾向が認められた(3.0±1.0→5.2±1.0μmol/日,p=0.096)。また、全粒粉群の体脂肪率の低下量が精白粉群よりも大きい傾向があった(Δ-2.75%vsΔ-2.00%,p=0.08)。さらに、腹囲は全粒粉群にのみ低下傾向が認められた(70.9→69.2cm,p=0.079)。体重およびBMIは両群とも有意に低下し、両群の変化量に有意差はなかった。また、便通の頻度を介入前のアンケートと介入中の記録をもとに比較した結果、全粒粉群のみ有意に増加し(4.4→5.5回/週,p=0.003)、増加量も全粒粉群の方が有意に大きかった(Δ1.10回vs.Δ0.38回,p=0.022)。血圧、コレステロールに変化はなかった。 4週間の全粒粉の積極的な摂取は、若年女性の便通の改善に有効であり、体脂肪率の低下に効果的である傾向があることがわかった。
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