2006 Fiscal Year Annual Research Report
味覚のワーキングメモリ:機能的近赤外分光法を用いた脳科学的研究
Project/Area Number |
18700625
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
岡本 雅子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品機能研究領域, 特別研究員 (00391201)
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Keywords | 実験心理学 / 食品 / 脳・神経 / 記憶方式 / 味覚 |
Research Abstract |
ワーキングメモリ(WM)は、ヒトの高度な認知機能の基盤となる概念であるが、従来のWMのモデルは、視覚、聴覚情報を対象とした研究に基づいており、味覚のWMを対象とした脳機能研究も行われていない。本研究では、味覚のワーキングメモリに関わる脳活動を調べるために、まず、味サンプルのスクリーニングを行った。具体的には、基本5味の配合を系統的に操作した211種類の味溶液を作成し、(1)言語化度(容易に言葉で表現できる味であるかどうか)、(2)快・不快度(おいしさ)、(3)サンプル間の類似度の評定値を収集、評定値に基づくクラスター分析を行い、脳活動計測実験に用いるサンプル候補を選定した。さらに、これらのサンプル候補を用いた記憶実験を行い、記憶課題の遂行が可能な、18種類のサンプルから成るサンプルセットを作成した。現在、これらのサンプルを用いて、脳活動計測実験を行っている。一方、記憶実験の準備中に、味記憶課題のコントロールとして設定した、「単に味を味わう」条件において、前頭外側領域の活動が認められること、またその活動が、個人内では、味サンプルに対する好みなどの評定値と強い相関を示すことがあることが分かった。前頭外側領域は、いわゆる味覚処理領域ではないが、近年、味覚処理の認知的な側面を反映する領域として、注目されつつあり、肥満や摂食障害との関係も示唆されている。そこで、この「単に味を味わう」条件における脳活動についても、詳細な検討を行い、論文投稿準備を行っている。
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