2006 Fiscal Year Annual Research Report
知的創生社会を支える人材育成のための科学教育カリキュラムの研究
Project/Area Number |
18700632
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
三好 美織 福岡教育大学, 教育学部, 講師 (80423482)
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Keywords | 科学教育 / カリキュラム |
Research Abstract |
科学・技術と社会の関係が密接になっている今日、科学教育には、科学技術社会を支える科学的リテラシーを持つ市民の育成と、科学・技術の発展を担う人材の育成という2つの方向性が求められており、これらの方向性を具体化する新しい科学教育カリキュラムの構築が必要となっている。本研究では、主体をわが国に、客体をフランスに設定し、比較教育史的研究アプローチを用いて今後のわが国の目指すべき「科学的リテラシーの育成」と「将来の専門家養成」の2つの科学教育の方向性について示唆を得ることを目的としている。 本年度は、義務教育段階である初等教育および前期中等教育段階における科学教育カリキュラムを中心として、フィールドワークおよび文献研究により検討を行った。その結果、わが国の科学教育と比較して、フランスの科学教育カリキュラムの特徴として、次の点が明らかとなった。 (1)初等教育段階においては、学年により教科名は異なるものの、科学と技術が1つの教科として学習されている。学習内容の配列は、身のまわりの物体や現象を観察することから始まり、実験やものづくりなどの体験的な活動を通して、科学的内容への興味・関心を喚起する内容となっている。さらに、得た知識を日常生活で即座に活用することのできるような内容も含まれている。児童の生活や身のまわりの事象との関わりが特に重視されているといえる。 (2)前期中等教育段階では、「物理・化学」と「生命・地球科学」の2つの教科があり、「環境」をキーワードとして教科の関連が図られている。学習内容の取り扱いでは、天文が物理分野で取り扱われていること、食品科学や保健衛生に関する内容が見られることに違いが見られる。教科の基本理念として、現代社会に不可欠な科学的教養の育成、実験的な手続きによつ批判的かつ誠実な精神の育成、科学や技術に対する興味・関心の喚起、科学・技術の消費者である市民としての意識の形成、安全教育、環境問題解決のための利用などが挙げられている。この理念を達成するため、例えば少人数での実験・観察などの学習活動が展開されている。
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