2006 Fiscal Year Annual Research Report
受講者の存在感に配慮した電子化黒板の活用方法の開発と日本語教育への展開
Project/Area Number |
18700644
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 弘毅 名古屋大学, 留学生センター, 講師 (60402377)
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Keywords | 教育工学 / 教育メディア / 電子化黒板 / 存在感 / 日本語教育 / 授業支援 / コミュニケーション / オペレーティングシステム |
Research Abstract |
本研究は、電子化黒板(Interactive Blackboard/Whiteboard ; e-黒板,電子白板とも呼ばれる)の効果的な活用を目指し、従来の黒板の利点に着目した電子化黒板用オペレーティングシステム(黒板OS)の開発を目的とする。また、その効果として、受講者の「コミュニケーションにおいて、相手と社会的・感情的につながっていると感じられる程度」を表す統合的な概念である存在感(social presence,社会的存在感とも訳される)を取り上げ、有効性の検証を行う。さらに、日本語教育への応用として、電子化黒板用のコンテンツの開発を行い、留学生を対象とした実際の日本語の授業において運用を行い、その効果を検証する。 本年度は(1)存在感に配慮した黒板OSに必要な機能の抽出、および(2)黒板OSのプロトタイプ・システムの開発と基礎的評価を行い、以下の知見を得た。 (1)では、すでに開発・運用されている電子化黒板の機能や先行研究を、国内の学会・研究会、海外の国際会議に参加し、調査した。受講者の存在感への配慮という観点からこれらを分類した結果、速記性や柔軟性、受講者がノートを取ることによる学習効果に加え、情報を共有することによる効果に言及した研究が見られた。 (2)では、(1)の調査結果を踏まえ、(1)速記性や柔軟性を活かした教材を提示するための装置、(2)受講者がノートを取ることによる学習との連携、(3)受講者の視線集中による存在感の向上の3点に着目した黒板OSのプロトタイプ・システムとして、授業時における受講者の発言やコメント、難しい等の反応をリアルタイムに黒板上に共有する機能を持つツールである"i-room"の拡張を行い、実際の授業で用いる教材やコンテンツを後から追加することができる枠組みを整えた。また、本ツールを用いた評価実験を行った結果、受講者の存在感を促進する可能性と学習効果が示唆された。 以上の中間成果を、関連する国内の学会にて発表した。
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