Research Abstract |
1 公立小学校126校,に勤務する254名の教師(教諭;管理職を除く)を対象にして,コンピュータ等ICT活用の実態やテレビ会議等,ICTによる支援へのニーズに関する調査を行った。 教職歴や性別による差も考慮した上で,僻地部と都市部の二群比較を行ったところ,以下の点が明らかになった。 (1)一般的なパソコン利用については,二群間で差はない。 (2)授業においてはへき地部の学校に所属する教員は都市部の教員に比べてパソコンをよく利用している。 (3)離島・へき地部の教員のほうが,都市部の教員に比べてテレビ会議の利用に関するニーズが高く,関心も高い。 (4)テレビ会議の利用は,特定教科での利用についてはニーズに差はないが,子ども同士の交流や総合的な学習の時間などでの活用ニーズが高い。また,専門機関への相談よりも,他校の教員の打ち合わせや職員研修に関してのほうに差が見られた。 2 長崎,鹿児島,沖縄の3地区(いずれも複式学級;小学校5,6年生)間の遠隔共同学習の授業研究を行った。また,授業研究を通して,事前打ち合わせ,事後授業検討会(これらもテレビ会議システムを用いて行う)教員のサポートも行った。授業設計時にはメーリングリストも活用した。 「総合的な学習の時間」での食文化を共通の学習テーマとし,遠隔学習環境で相互発表活動を行う授業を設計した。その結果,発表に関する自信が出てくる,他地域の視点に気づく,他の学校との子どものつながりを実感するという視点から,本授業実践の効果を実証的に明らかにした。 3 コミュニケーション能力育成のカリキュラムに関する現場のニーズ調査を行い,現場教員が重視している学習項目と実際の違いについて検討した。また,コミュニケーション能力を重視した学習環境において,どのような授業構成要素を重視しているのかについて,通常の授業設計と比較した上で明らかにした。
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