2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18700654
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
雲井 未歓 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (70381150)
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Keywords | ワーキングメモリ / 音韻ループ / カウンティング / サビタイジング / 反応時間 / 構音抑制 / 読み書き障害 / 漢字書字 |
Research Abstract |
1.ワーキングメモリ評価課題の開発と援助要因の検討 事物集合の個数判断課題を用い,ワーキングメモリの特徴を,使用方略と構音抑制効果との関連から検討した.健常成人を対象とした実験を行い,カウンティング方略による個数判断に作業記憶の音韻ループが関与するという先行研究の知見を追認した.その上で,サビタイジング方略による個数判断の過程には,音韻ループの関与が極めて小さいことを検証する実験に成功した.これにより,音韻情報処理の弱さが指摘される児童における,発達初期の数量判断の援助要因として,サビタイジングの有効性を指摘できた. 2.健常児基準データの収集 小児の初期発達の特徴を明らかにする必要から,健常幼児を対象に集合数の同一判断課題を検討した.5より大きな数を判断する課題に比べ,小さな数を二種類同時に判断する課題を容易とする段階が,幼児期に存在することを明らかにした.この点は,課題の成績とともに,反応時間の測定,および一部事例における心拍反応による緊張状態の変動の分析によって確かめた. 3.学習障害児の書字指導教材の開発とプロファイリング 読み書きの困難を伴う学習障害児に対する漢字書字の指導用教材群の開発を行った.教材は対象児の視覚記憶および聴覚記憶の特性に応じて選択できるように構成し,計45種類を作成した.その上で,特性の異なる典型事例2名を抽出し,指導効果を測定した.聴覚記憶の弱さが指摘された事例では,イラストによる視覚的援助と,文または語句を材料とした意味論的情報の利用の有効性を確認した.視覚記憶と視覚的注意の弱さが指摘された事例では,漢字の視覚的成分のチャンキング(例:「親」の立,木,見への分解),および形態的特徴の恒常性(方向・大きさの異なる漢字の同一判断)に関する指導の有効性を確認した.
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