2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18700654
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
雲井 未歓 Kagoshima University, 教育学部, 准教授 (70381150)
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Keywords | 学習障害(LD) / 発達性ディスレクシア / ワーキングメモリ / 書字の認知過程 / サンプルマッチング / プライミング |
Research Abstract |
前年度の実績に基づき、漢字の書字学習に関する学習支援方法と具体的教材を、認知特性のタイプに応じて呈示する教材群の開発を行った。具体的には、漢字の学習過程を文字の視覚的弁別、語の音韻操作、漢字の意味処理、書字の運動出力の各段階に分類した。それぞれの過程について、サンプルマッチング課題とプライミングによる対連合学習課題、および書字の運動系列学習課題を作成した。対象児の各種評価結果をプロファイリングできるようにした上で、研究協力校における定期的な個別指導を実施した。その結果、語の音韻操作段階に困難を示すLD児においては、サンプルマッチングとプライミングの効果が特徴的に認められた。書字の運動出力段階に困難を伴う児では、音刺激を手がかりに書字運動の学習を行う課題で、著明な効果を認めることができた。これらの結果については、単純な反復練習による学習経過との比較において、その効果が有意であることを確かめた。 読み書きの障害を引き起こす要因は個人によって極めて多様であり、個人の特性を考慮した学習支援の必要性が従来指摘されてきた。しかし、その具体的方法については知見が乏しかった。この点について、本研究は漢字の書字に限定したものではあるが、困難の要因と効果のある指導方法とを体系的に示すことができたことに重要な意義があると言える。また、研究の発展としては、算数をはじめとした他の学習内容や、より初期の発達段階にある児童に対する支援への可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)