2008 Fiscal Year Annual Research Report
地域祭礼にみる仮設構築物のおりなす文化的景観に関する調査研究
Project/Area Number |
18700676
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
梅干野 成央 Shinshu University, 工学部, 助教 (70377646)
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Keywords | 祭礼 / 日常 / 非日常 / 仮設 / 常設 / 建築 / 景観 / 文化財 |
Research Abstract |
仮設的な構築物が組みたてられる姿を景観の観点からみると、文化的に色濃い建築のいとなみが息づいていることに気づく。とりわけ、祭礼にともなって、地域総出で幟や大灯籠、舞台、山車などの組みたて式の構築物を組みあげていく様は、とくに見応えがある。こうした組みたて式の構築物は、祭礼のたびに同じ場所に組みたてられ、都市や集落の景観は、非日常的な祭りの姿へと劇的に変貌する。本研究課題は、仮設構築物のおりなす景観として地域祭礼の姿に着目して、祭礼に際してがらりと変わる景観の仕組みを建築学の立場から捕捉し、この成果をふまえて、景観の概念のなかに祭礼における非日常的な景観を積極的に含め、新しい景観保護の提案を模索するものである。 平成20年度には、これまでの調査結果をふまえ、瑞穂地区の祭礼景観の仕組みを具体的に考察した。瑞穂地区の祭の前後には、区民の方々の経験的知識にもとついて、幟や灯籠など、10種117つの構築物が組み立て・解体された。これらの構築物について、設置方法と設置地点を分析し、これらの構築物が仮設的な部分と常設的な部分からなり、それらが計画的に使い分けられていたことを示した。とりわけ、常設的な部分は、祭のたびに非日常的な集落の風景を再現するための、風景の記憶装置としての役割を担ってきたことを示した。その結果、有形の文化財である構築物と無形の文化財である組み立てが相互補完的に作用することで、集落の姿が日常・非日常を周期的に繰り返してきたことを明らかにし、有形と無形の統合的な文化財保護制度の必要性を提示した。
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Research Products
(1 results)