2006 Fiscal Year Annual Research Report
活断層における時間的空間的ゆらぎを考慮した活動特性の解明
Project/Area Number |
18700687
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
廣内 大助 愛知工業大学, 工学部, 研究員 (50424916)
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Keywords | 地震 / 地下レーダ / 自然災害 / 活断層 / 変動地形 / 阿寺断層 / 古地震活動 / トレンチ調査 |
Research Abstract |
本研究では,活断層における古地震活動時期の解明と地震時変位量の高精度解析結果に基づいて,活動間隔のゆらぎを考慮した断層の活動特性の解明並びに断層系のセグメンテーションについて考察することを目的としている.研究対象地域は,古地震の活動履歴情報の集積が最も多い断層系の一つである阿寺断層帯とする. 18年度は断層帯の位置や形状を把握するために,阿寺断層帯の主に中北部について空中写真判読と現地踏査を実施した.その後活動履歴と変位量把握のために,トレンチ調査候補地点の中津川市加子母上桑原地区において試錐調査,地下レーダ探査を実施した.その後トレンチ掘削調査を実施した.トレンチ調査地点は,谷側である断層南西側が隆起し,堰き止め状の地形を呈する地点であり,この凹地を横切る掘削穴の壁面には,地形と調和的な南西側隆起を示し,完新世の地層を変位させる複数の断層を見いだした.地層は黒色の礫を含んだ腐植質シルト層が大半であり,途中に砂礫層を挟在し,これらは層相に基づいて下位から4層〜最上位の1層まで区分できる.断層は最下位の4層までを変位させるものと,さらに上位の2層までを変位させるものから,少なくとも過去2回の断層活動が認められた.各地層の堆積年代については,放射性炭素年代測定と火山灰分析ならびに,考古学的遺物の鑑定に基づいている.これらの産出層序と断層変位の関係から,断層の最新活動時期は,3,030±30y.B.P.以降,300±30y.B.P.以前であることが明らかとなった.また一つ前の活動は約3000年以前であり,4層中から産出したK-Ahテフラ(約6300年前)よりもおそらく後と考えられる.最新活動にともなう変位量は平面掘削により2層を刻む小流路の変位より約1m未満であったが,認定に不明確な部分もあり,追加的に確認を行う.これら阿寺断層の古地震活動に関わる成果は,活断層研究27号に関連する内容を投稿しており,今秋以降の学会でも発表予定である.
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Research Products
(1 results)