2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本上空の対流圏・成層圏における酸素濃度の変動と炭素収支の解明に関する研究
Project/Area Number |
18710004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石戸谷 重之 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別教育研究教員 (70374907)
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Keywords | 物質循環 / 気候変動 / 酸素 / 二酸化炭素 / 成層圏 / 炭素循環 / 重力分離 |
Research Abstract |
本研究においては大気中のO_2濃度の微妙な変化を検出する必要があり、試料採集装置と分析装置、標準ガスの管理が極めて重要となるので、高精度測定を維持するための保守点検を継続実施した。また現有の標準ガスの繰り返し検定を実施し、標準ガススケールの国際比較プロジェクトにも参加して値の安定性の確認を行い、実際の分析に供した。 仙台近郊や日本上空で航空機を用いて採取される大気試料のO_2濃度とCO_2濃度の高精度分析を継続実施した。得られた結果について、これまでに取得されたデータとともに整理し、ベースラインの長期時系列を作成した。また、日本上空の成層圏で採取され保存されており、分析が行われていない試料の分析を行い、同時に分析するN_2とO_2の同位体比を基に重力分離の補正を行い、成層圏のO_2濃度の時系列データをCO_2濃度とともに作成した。 対流圏のO_2濃度とCO_2濃度の間には逆相関関係にある明瞭な季節変化が見られ、高度の上昇に伴ってその振幅が減少し、位相が遅れることが見出された。また、O_2濃度の絶対値はCO_2濃度の場合とは逆に高度の上昇に伴って増加しており、O_2の吸収源、放出源は地表付近に存在することが明らかになった。 世界の化石燃料消費量の統計量を用い、対流圏と成層圏のO_2濃度とCO_2濃度の経年変化を組み合わせて解析することによって、1993〜2008年の人為起源のCO_2の陸上生物圏および海洋による吸収量を推定した。 本研究から得られた結果を、日本気象学会および地球惑星合同学会等で発表した。
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