2008 Fiscal Year Annual Research Report
森林の群落構造・生理的特性の流域スケールでの時空間分布解析
Project/Area Number |
18710006
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
村岡 裕由 Gifu University, 流域圏科学研究センター, 教授 (20397318)
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Keywords | 個葉光合成特性 / 葉面積指数 / フェノロジー / 衛星リモートセンシング / 生態系モデル / 気候変動 |
Research Abstract |
平成20年度は本研究課題の総括として特に次の研究を推進した。(1)冷温帯落葉広葉樹林における個葉光合成特性, 葉面積指数, 微気象条件(日射, 気温, 湿度など)などを生態系シミュレーションモデルNCAR-LSMにて結合して, 落葉広葉樹林の炭素吸収(光合成)と放出(呼吸)量の季節性(フェノロジー)と年変動が気象や森林構成樹種の特性により受ける影響の定量的検討を4年分のデータについて行った。(2)衛星リモートセンシングによって観測した流域スケールでの生態系タイプおよび葉面積指数を, 高解像度数値気象モデルおよび上記(1)の生態系モデルと結合して, 流域スケールでの炭素・熱・水収支を解析するモデルを開発した。 これらの研究によって得られた成果として特記すべきことは次の2点である。(1)年々の気象条件の違いは森林構成樹種の葉の形成に影響をもたらし, それが年間の光合成活動期間を変化させるために森林全体の炭素吸収量が年変動を示すこと。(2)地形や微気象条件, 植生分布が空間的に複雑である山岳地域では高解像度なシミュレーションモデルが必須であり, 本研究により従来のモデルでは生態系炭素吸収量を大きく過大評価(50%以上)してしまうことが明らかになった。 これらの研究に加えて, リモートセンシングによる森林葉群構造の季節性のモニタリング手法の再検証を進めた。それにより, 従来の植生指標であるNDVIは展葉期の観測には適するが落葉期の観測には適さないことが明らかとなった。
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