2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18710019
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
乙坂 重嘉 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究職 (40370374)
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Keywords | 物質循環 / 沿岸域 / 粒子状有機物 / 放射性炭素 / 河川 / 日本海 / 北西部北太平洋 |
Research Abstract |
北西部北太平洋および北東部日本海は高い生物生産性を持つことから、わが国における水産環境や、炭素をはじめとする物質の循環に大きな影響を与える。本研究では、この海域の沿岸への陸起源物質の主な供給源として考えられる主要河川で、河川水中の懸濁物および河川底堆積物を採取し、陸起源粒子状有機物(POM)中の放射性炭素同位体比の分布を明らかにする。さらに、既に取得済みの海水中POMの分析結果を本研究で得られる結果と比較することにより、当該海域におけるPOMの「平均年齢」を推定し、対象海域における有機物循環の時間スケールを見積もる。 平成18年度は、北緯40度から43度の範囲に河口を持つ国内の主要河川(石狩川、尻別川、後志利別川、鵡川、沙流川、十勝川、米代川、馬渕川、岩木川および鷹瀬川)の河口付近において、懸濁物試料採取および試料処理のために最適な地点を選定すると共に、河川水流量の少ない10月〜3月に、堆積物試料を採取した。 堆積物試料は、できる限り流軸に近い箇所で柱状採泥管を使用して採取した。堆積物表層のかく乱が激しいため、0〜3cm深部分の試料を均一に混合し、その分析値を解析に用いることとした。これまでに13の堆積物試料が採取され、このうち、北海道地区で得られた6河川、10試料については燃焼法によって有機物含量を、さらにそのうちの5試料については加速器質量分析(AMS)法によって放射性炭素の同位体比を測定した。 本研究で対象とした全ての河川において、平成19年4月から5月にかけて懸濁物試料の採取のための集中観測を予定している。これに先だって、河川水から懸濁粒子を回収するための濾過機材を、移動中の車内でも展開できるような実験系を製作した。これにより、有機物測定用の懸濁物試料を変質させずに実験室に輸送することが可能となった。
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