2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18710019
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
乙坂 重嘉 Japan Atomic Energy Agency, 原子力基礎工学研究部門, 研究職 (40370374)
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Keywords | 物質循環 / 沿岸域 / 粒子状有機物 / 放射性炭素 / 河川 / 日本海 / 北西部北太平洋 |
Research Abstract |
北西部北太平洋および北東部日本海は高い生物生産性を持つことから、わが国における水産環境や、炭素をはじめとする物質の循環に大きな影響を与える。本研究では、この海域の沿岸への陸起源物質の主な供給源として考えられる主要河川で、河川水中の懸濁物および河川底堆積物を採取し、陸起源粒子状有機物(POM)中の放射性炭素同位体比の分布を明らかにする。さらに、当該海域におけるPOMの「平均年齢」を推定し、対象海域における有機物循環の時間スケールを見積もる。 平成19年度は、(1)融雪期における試料採取、(2)試料の分析および、(3)観測・分析データの解析を実施した。 試料採取は、前年度に選定した10河川の調査地点において、河川水懸濁物および河川底堆積物を採取した。試料採取は、年間の粒子負荷量の約40%を占める春季(4月〜5月)に集中的に実施した。得られた試料数は、懸濁物14試料、堆積物17試料である。 試料分析は、有機物含量は燃焼法を、放射性炭素同位体比は加速器質量分析(AMS)法を用いて測定した。さらに、ICP発光分析法およびICP質量分析法によって、主要・微量元素(31元素)の濃度を定量した。 放射性炭素同位体比から、河川底堆積物の「見かけの炭素年齢」は、日本海側で0〜2,900年、太平洋側で800〜3,300年と見積もられた。次年度は、ここで得た結果を、これまでに得られている海洋性粒子状有機物中の放射性炭素同位体比と比較し、有機物循環の時間スケールを見積もる。さらに、元素組成の情報をデータベース化し、陸起源物質の輸送経路についても詳細に解析する。
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