2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18710019
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
乙坂 重嘉 Japan Atomic Energy Agency, 原子力基礎工学研究部門, 研究職 (40370374)
|
Keywords | 物質循環 / 沿岸域 / 粒子状有機物 / 放射性炭素 / 河川 / 日本海 / 北西部北太平洋 |
Research Abstract |
北太平洋北西部および日本海北東部は高い生物生産性を持つため、わが国における水産環境や、炭素をはじめとする物質の循環に大きな影響を与える。本研究では、これらの海域への陸起源物質の供給源となりうる主要河川で、河川水懸濁物および河川底堆積物を採取・分析し、陸起源の粒子状有機物(POM)が持つ放射性炭素同位体比を求めた。これによって得られる「見かけの年齢」を利用し、対象海域におけるPOMの循環過程とその時間スケールを見積もった。 平成20年度は、下記の4項目を実施した。 1. 本研究で調査対象とした13河川について、河川底堆積物および河川水懸濁物中の放射性・安定炭素同位体比と、主要・微量元素(31元素)の濃度情報をデータベース化した。 2. 追加情報として、沿岸域でのPOMの炭素同位体比を分析した。 3. 上記1および2でまとめた河川POM情報を統合し、対象海域におけるPOM循環過程とその時間スケールを検討した。一例として、日本海北東部におけるPOMの輸送過程を以下に記す。(1)沿岸域に供給される陸起源POMの大部分は、比較的速やか(〜1年)に海洋生物起源POMと混合し、沿岸域の海底に堆積する。(2)POMは、沿岸堆積物中で約600年かけて混合・変質を受け、海底付近に高濁度層を形成する。(3)この高濁度層中のPOMは、約200m/年の速度で海盆内部に向かって水平移動する。 4. 上記の成果の一部を、学術誌「Journal of Oceanography」他に公表した。また、国内外の学会(各1件)および一般向けの講演(1件)において成果の一部を公表した。
|