2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18710038
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
永松 大 鳥取大学, 地域学部, 助教授 (20353790)
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Keywords | 海浜植物 / 砂丘 / 景観維持 / 個体群構造 |
Research Abstract |
鳥取砂丘は国の天然記念物および山陰海岸国立公園の特別保護地区に指定されており日本に残された貴重な大規模海浜砂丘かつ地域の代表的な観光資源でもある。鳥取砂丘では現在海浜植生の保護と砂丘景観の維持との共存を図る管理方法が必要とされている。本研究では平成18〜20年度に,A)海浜植生の個体群構造定量化・モデル化,B)地域社会が望む「鳥取砂丘」景観の具体化,C)植生保全と景観両立のための具体的施策の提言を行うことを目的として,18年度はこのうち主にA)海浜植生の個体群構造定量化の調査・解析を行った。 1.砂丘主要部約130haの植生分布を1mスケールで調査し,鳥取砂丘の現存植生図を初めて作成した。砂丘内には目標物がないため高性能GPSを用いて位置を確定した。外来植物除草(8-9月)前後に調査を行い,除草前後の植生変化をとらえることに成功した。 2.各群落において種別被度を草丈と密度の計測を行い生物量の推定を行った。量的な空間分布を明らかにするためデータを解析中である。 3.海浜植物の場所による成長・繁殖状況を把握するため,砂丘内の43カ所で1年間の継続調査を行い,代表的な5種の開花・繁殖時期を特定した。いくつかの種で場所による成長・繁殖の違いがあることがわかった。 4.130haを対象に毎月,土壌水分調査を行い,表層土壌の乾燥度を把握した。基本的な地形構造を解析するため10mメッシュ標高地図を基にGIS(地理情報システム)を使って地形指標を決定した。 5.上記のデータを利用して海浜植生の分布と地形・水分との関係を解析した。コウボウシバの分布が地形や土壌水分によって規定されていること,コウボウムギやケカモノハシなどの優占種は分布が広く,地形構造からは分布が説明できないこと,などが明ちかとなった。 18年度の結果に基づき現在投稿論文を準備中である。
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