2006 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯雨林の林産物交易をめぐる社会関係と持続的利用モデルについての調査研究
Project/Area Number |
18710041
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
金沢 謙太郎 神戸女学院大学, 人間科学部, 助教授 (70340924)
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Keywords | 環境と社会 / 熱帯雨林 / 林産物交易 / 沈香 / 東南アジア |
Research Abstract |
沈香は、東南アジア特有の森林産物であり、かつ長年にわたり交易の対象となってきた。しかし、その流通過程は現在に至るまで闇に包まれた部分が多い。今年度、本研究では、マレーシア、サラワク州を調査対象地とし、沈香の原料採集の段階から貿易商にいたる流通過程とその間の人間集団間の関係についてフィールドワークを行った。 現地調査のため、平成18年7月30日から9月6日までの39日間出張した。まず、サラワク州バラム河流城では、土地利用や森林植生の現況把握のため、上空(飛行機)と陸上(車)から踏査を行った。その結果、木材の伐採道路がインドネシア側との国境付近にまで延び、バラム河最上流域に商業伐採が入っていることが確認された。また、上記の調査期間中に仲買農民への聞きとり調査を行った。聞きとりにより、採集民からの買付け方法や中国系貿易商との接触の頻度などに関する情報を得ることができた。 平成18年7月31日-8月1日にサラワク州クチンで開催されたThe Eighth Biennial Conference of the Borneo Research Council(第8回ボルネオ学会)にて学会報告を行った。Distribution Characteristics of the Non-timber Forest Product Gaharu Wood along the Upper Streams of the Baram River in Sarawak(「サラワクのバラム河上流における非木材林産物、沈香木の分布特性」)と題し、沈香木の生態的情報、特にその希少性について報告した。なお、その英文報告はCDに収録され、同学会で配布された。その他、雑誌論文として、林産物の採集民に対する州政府の政策決定過程について分析を行い、発表した。
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