2007 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯雨林の林産物交易をめぐる社会関係と持続的利用モデルについての調査研究
Project/Area Number |
18710041
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
金沢 謙太郎 Kobe College, 人間科学部, 准教授 (70340924)
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Keywords | 環境と社会 / 熱帯雨林 / 林産物交易 / 沈香 / 東南アジア |
Research Abstract |
昨年度までの研究成果をもとに、日本熱帯生態学会(6月16日)において、「サラワクのプナン人集落における沈香木の分布と沈香採取」と題し、報告を行った。 8月21日から9月7日までの18日間、沈香の代表的な輸出ルートである中東方面に出張した。アラブ首長国連邦のドバイ、オマーンのマスカット、サラーラ、エジプトのカイロの各小売店において、とり扱う沈香の種類、等級、量、形状、価格など聞きとりを行った。また、沈香のサンプルをできる限り入手し、関連の図書資料を集めた。同時に、フランスのグラースに足を延ばし、沈香を含む香木系オイルの使途について聞きとりを行った。その結果、中東はいわゆるオイル・マネーの経済力により、世界最大の沈香の消費地となっており、高級品から低廉品まで大きな需要があることがわかった。イスラム教圏では、宗教儀礼用として、また来客の接待用の小道具として、重用されている。 9月12日から9月21日までの10日間、沈香の貿易中継地として知られるシンガポールに出張し、10数軒の問屋で聞きとり調査を行った。そこでは、沈香の国際取引規制により、輸出割り当てが定められ、取引量が制限されていた。そのため、経営の縮小や撤退を迫られている問屋もみられた。国際規制は一定の有効性をもっている反面、輸出割り当ての算出根拠が不明な点や流通品が合法的採取によるものかどうかの確認が困難な点など、課題も浮き彫りになっている。シンガポールからの帰路にマレーシアのサラワク州に立ち寄り、沈香輸出に関する業者への聞きとり調査も行った。以上の研究成果は、来年度、単著論文として3本を発表する予定である。
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