2008 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯雨林の林産物交易をめぐる社会関係と持続的利用モデルについての調査研究
Project/Area Number |
18710041
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
金沢 謙太郎 Shinshu University, 全学教育機構, 准教授 (70340924)
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Keywords | 環境社会 / 熱帯雨林 / 林産物交易 / 沈香 / 東南アジア |
Research Abstract |
今年度も継続調査地であるマレーシアでフィールドワークを行った。サバ州のコタキナバルでは、先住民支援のNGO活動を続けているコメオク氏と面会し、聞きとりを行った。サラワク州のミリでは、同市役所のサリマ氏より現地の最新情報を伺った。そこから奥地のロング・ラランへ飛び、徒歩でロング・クパン村、ロング・ブナリ村に移動し、1週間滞在した。ロング・クパン村では、原生林の状態や彼らが採取している非木材林産物の採集やとり引きについて、観察、聞きとりを行った。ロング・ブナリ村は、数年前に木材の商業伐採に反対して林道封鎖を始めた。その抗議行動は現在も続いていたが、それによって非木材林産物を買い付ける仲買人が村へ来ることができなくなり、採集民の生活はより一層困難な状況に追い込まれていることがわかった。なお、研究成果の一部は、日本熱帯生態学会(6月21日、東京大学)において、「沈香にかかるCITES規制とその課題」と題し、発表した。また、『東南アジア・南アジア開発の人類学』(明石書店)/担当は「熱帯雨林のモノカルチャー : サラワクの森に介入するアクターと政治化された環境」119-154頁を執筆した。その他、3月中旬に香料輸入の長い歴史のある中国を訪問した。杭州では、漢方薬の老舗、胡慶余堂を視察した。海のシルクロードの拠点である泉州では、中国の香木交易史に関する資料収集を行った。これらの研究成果は既に脱稿済みで21年度出版予定の『地球環境史からの問い』(岩波書店)/担当は「熱帯雨林と文化 : 沈香はどこから来てどこへ行くのか」[単著]、また『アジア環境白書2009/10』(東洋経済新報社)/担当は「脅かされる伝統的生態知識」[共著]に著している。
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