2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18710050
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
横田 裕一郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 博士研究員 (30391288)
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Keywords | 高等植物 / BY-2 / バイスタンダー効果 / ヒストンH2AX / DNA2本鎖切断 / 重イオン / LET / 微小核 |
Research Abstract |
平成18年度は、高等植物のモデル細胞として用いるタバコBY-2培養細胞株において、バイスタンダー効果を検出するための実験系を確立することを主な目的として、以下のように研究を進めた。 1.リン酸化ヒストンH2AX抗体の作成と特異性の確認 バイスタンダー効果により細胞内に生じることが期待される、ごくわずかなDNA2本鎖切断を、定量的に検出するために、タバコのリン酸化ヒストンH2AXのポリクローナル抗体を作成した。作成した抗体が、本研究の遂行に十分な抗原特異性を有することを、ELISA法により確認した。 2.重イオン照射により誘発されるDNA2本鎖切断の定量的解析 重イオン照射したタバコ細胞に生じるDNA2本鎖切断を、パルスフィールドゲル電気泳動法により定量的に解析し、2本鎖切断の初期生成量がイオン種および線エネルギー付与(LET)に依存すること、重イオン照射ではガンマ線照射と比べて、ゲノムDNA上に生じる2本鎖切断の間隔が狭まる傾向があることを明らかにし、このことをRadiation Research誌上で発表した。 3.微小核の生成頻度を測定するための実験系の確立 細胞分裂後に生じる微小核の生成頻度を測定するために、動物細胞では、アクチンの重合阻害剤を用いて細胞質分裂を止める。しかし、分裂機構が異なる植物細胞では、この系を使えない。そこで、タバコ細胞において、微小核の生成頻度を測定するための実験系を確立した。この系を用いて、ガンマ線照射したタバコ細胞において、微小核の生成頻度が、線量依存的に増加することを確認した。
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