2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18710051
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
石井 伸昌 National Institute of Radiological Sciences, 放射線防護研究センター, 主任研究員 (50392212)
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Keywords | 放射線 / 生態系 / 機能 / 微生物 / 群集 |
Research Abstract |
土壌には多種多様な微生物が生息しており、生態系における栄養塩や金属元素等の物質循環に重要な役割を果たしている。そのため、土壌微生物群集の種構成や微生物活性の変化は、生態系の物質循環に影響すると予想される。 平成19年度は、平成18年度に行った研究成果の再確認、得られた成果の学会および論文発表、さらに細胞外に存在するDNA(細胞外DNA)に対する放射線の影響について研究を行った。細胞外DNAは細菌の進化に関わるパラメータである。過去の研究において細菌が遺伝子として機能するDNAを細胞外へ放出することが実験的に証明されている。そこで、細胞外DNAをガンマ線に暴露することにより、細胞外DNAの遺伝子としての機能が失われる線量について検討した。機能の損失は形質転換効率(単位DNA量当たりの形質転換細胞数)で評価した。 まず18年度の成果のまとめであるが、約5Gyのγ線に湛水土壌が暴露されたとき、土壌より溶出する鉄量が減少することを陸水学会およびInternational Journal of PIXEで発表した。細胞外DNAに対する放射線の影響評価では、約10Gyのγ線に暴露された細胞外プラスミドDNAの形質転換効率が有意に減少することを明らかにした。そして形質転換効率の減少がプラスミドDNAの鎖切断によって引き起こされた細菌のDNA取り込み率の低下である可能性を示した。この研究は韓国・済州島で開催されたInternational symposium of river and lake environmentで学会発表すると共に、Journal of Environmental Radioactivityで論文発表した。 最後に、土壌細菌群集に対する放射線の影響評価の重要性を、放医研で開催されたJapan-Ukraine international meeting on radioecology:20 years after Chernobyl,what should be next?および日本放射線影響学会で報告した。
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