2006 Fiscal Year Annual Research Report
透明メダカを用いたナノ物質の生体内挙動と毒性に関する研究
Project/Area Number |
18710058
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
柏田 祥策 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, NIESボスドクフェロー (20370265)
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Keywords | メダカ / ナノ物質 / 生態毒性 / 生体内挙動 / 薬物代謝酵素 |
Research Abstract |
目的:化学合成されたナノ物質の環境挙動は切迫した環境問題として対処するべき問題である。本研究では,水懸濁性の蛍光ナノ粒子を用いて,透明メダカの受精卵および生体におけるナノ粒子の挙動について研究を行った.さらに透明メダカ薬物代謝酵素誘導の成長依存性について検討した. 結果:粒子直径が39.4-42,000nmの粒子はメダカ卵の卵膜を通過して卵内の油滴に濃縮された.直径474nmの粒子は卵に対して最も高い取込を示した。油滴に取り込まれた直径39.4nmの粒子は受精卵の発達に伴い卵黄および胆嚢に移行した.メダカ成魚は,直径39.4nmの粒子に10mg/L濃度で曝露された場合,主にエラおよび腸管にナノ粒子を蓄積した.体内に取り込まれたナノ粒子は脳,精巣,肝臓および血液から検出された.メダカ血中のナノ粒子濃度は10.5-16.5ng/mg血液タンパクであった.これらの結果はナノ粒子は血液脳関門を通過でき,最終的には脳を汚染することを示唆した。毒性についてはナノ粒子の毒性は,試験水の塩分によって影響されることが明らかとなった。薬物代謝酵素誘導については,孵化1週間後,2週間後および4週間後におけるCYP1Aの誘導活性について評価した結果,誘導活性は成長段階によって異なり孵化2週間後のメダカにおいて最も優れた用量反応曲線を得ることができた.また孵化直後ではCYP1A活性のバックグラウンド値が高いため正確な測定が不可能であった. 考察:水環境におけるナノ物質の生物による取込と毒性は生物成長,環境要因およびナノ物質の物理化学的性状に依存する.工業製品に含まれるナノ物質の毒性影響と環境影響に関する追加研究がナノ物質の利用に関するリスクとベネフィットを決定するために重要である.
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Research Products
(2 results)