2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18710070
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
下川 知子 Forestry and Forest Products Research Institute, きのこ・微生物研究領域, 主任研究員 (60353728)
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Keywords | バイオマス / タケ / モウソウチク / バイオエタノール / セルラーゼ |
Research Abstract |
タケ、ササ類は再生産可能な早生資源であるものの、利用用途が限られていることから夫利用資源となっている。その利用方法を開発することはバイオマスの有効利用に利するのみならず、景観の維持においても有効である。早生未利用資源であるタケ、ササ類を、環境負荷の少ない酵素糖化処理を利用して資源化する手法を開発することを目的に研究を行った。マダケやモウソウチクなどのタケ類の特徴として、成長するに従ってグニン含量が増加していき、枝が展開する時点で全体的にリグニン含量が一定となる傾向を確認した。従って、枝が展開する前の試料を用いることが高い酵素糖化率を得るために重要であることが分かった。今年度は適期に収穫されたタケ類を同時糖化発酵に供し、バイオエタノールへの変換実験を行った。枝が展開する前の未熟なマダケ(約4M)およびモウソウチク(5-6M)を収穫後にチップ化し、乾燥してから0.5mmの篩を装着したロータースピードミルで破砕した。5%の基質濃度で、2〜12FPU/g-バイオマスのセルラーゼと酵母(Saccharomyces cerevisiae)による同時糖化発酵を行い、高い変換効率によりバイオマス中のグルコース成分からエタノールを生産させることができた。酵素は市販酵素製剤のほかにセルラーゼ生産菌(Trichoderma reesei)の培養ろ液でも同時糖化発酵を行うことが可能であり、試料を乾燥させずに生のモウソウチクを破砕したものからでもエタノール生産が可能であった。以上の結果から、適切な収穫時期を選択することでタケバイオマスは酵素糖化可能な利用しやすい資源となり、バイオエタノール生産などに利用できることが明らかになった。
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