2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノポーラスカーボン膜を利用したバイオエタノールの高効率分離濃縮技術の開発
Project/Area Number |
18710072
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
吉宗 美紀 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門, 研究員 (30392682)
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Keywords | 省エネルギー / 反応・分離工学 / 環境技術 |
Research Abstract |
バイオエタノールの分離濃縮に関する先端技術の動向調査結果より、膜材料の特性として、疎水性表面、エタノール選択的な吸着挙動を示すこと、1nm程度の細孔径であることが本研究目的に適していることが判明した。そこで、本研究におけるナノポーラスカーボン膜の調製において、メソ細孔径の小さいカーボン膜の作成手法を検討した。 まず、製膜液のレゾルシノールと触媒とのモル比を50〜400に変化させたところ、1000℃で焼成したカーボン膜のメソ孔径を2〜14nmに制御することが可能であることを明らかにした。また、800〜1400℃の焼成温度において、メソ孔径は高温ほど小さくなるが、その影響は小さいことを見出した。接触角の測定はメソ孔径が10nm以下で可能であり、メソ孔径に対する依存性は小さく80°前後であることが分かった。吸着試験の結果、ナノポーラスカーボン膜は低い相対圧領域でエタノール選択的であることを明らかにした。 作製したカーボン膜についてガス透過現象の評価を行ったところ、ガスの透過速度は平均圧に依存せず、ガス分子の分子量の-1/2乗に比例し、かつ測定温度の平方根に反比例するKnudsen理論と一致した結果を示し、このカーボン膜が欠陥のないメソ孔が支配的な膜であることを明らかにした。また、メソ孔径の大きな膜ほどガス透過速度が大きくなることを確認した。 続いて、模擬iバイオエタノールとして5vol%エタノール水溶液を用い、作製したナノポーラスカーボン膜の浸透気化分離試験を行った。メソ孔径が14nmのカーボン膜では膜透過流束4.2kg・m^<-2>・h^<-1>、エタノール選択性1.4を示し、メソ孔径が4nmのカーボン膜では膜透過流束3.7kg・m^<-2>・h^<-1>、エタノール選択性2.4を示し、メソ孔径が小さくなるほどエタノール選択性が向上する傾向を見出した。得られた研究成果は、平成18年度化学工学会年会にて発表した。
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