2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18710080
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Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
Principal Investigator |
山本 真理 大阪市立工業研究所, 電子材料担当, 研究員 (20416332)
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Keywords | 金属錯体 / 液晶 / 貴金属 / ナノワイヤー / ナノ材料 / 自己組織化 / 形態制御 / 異方成長 |
Research Abstract |
金属ナノワイヤー、ナノチューブなどの異方性を有する金属ナノ構造体は、球状ナノ粒子にはない特異な光学的、触媒的、電気的、磁気的性質を発現すると期待されている。本研究では、自己組織化が可能な液晶を配位子に組み込んだ金属錯体を設計し、金属錯体の自発的な配列をそのまま反映したナノ構造体を創製することを目的とする。具体的には、一つの円盤のコア部分に複数個の金属を集合させた新しい金属錯体液晶(環状複核錯体液晶と円盤状に自己組織化する扇形錯体液晶)を設計し、カラムナー相を保持したまま還元して金属ナノワイヤーを創製する。 平成18年度では、環状複核錯体液晶になると考えられるチオレート錯体[M(SR)]_n(M=Ag, Au, Cu)を合成し、その液晶相や相転移温度をDSCや温度可変偏光顕微鏡を用いて調べた。まず、チオレート錯体[M(SC_nH_<2n+1>)]_m(M=Ag, Au, Cu, n=12,14,18)は、トリエチルアミン存在下、金属塩(AgNO_3,HAuCl_4,CuCl_2)とアルカンチオール(C_nH_<2n+1>SH, n=12,14,18)をそれぞれ反応させて合成した。得られた銀チオレート錯体[Ag(SC_<18>H_<37>)]_mの相転移温度をDSCで調べた結果、131と175℃に吸熱ピークが観測された。また、温度可変偏光顕微鏡を用いて、131から175℃の温度範囲で液晶相を観察した。そこで、この温度領域で液晶相を形成させた後に、光還元、又は水素還元を行い、生成物のTEM観察を行った。光還元法では、TEM観察より2-3nmの球状粒子が生成したことが分かったが、ワイヤーは観察されなかった。一方、銀チオレート錯体を水素雰囲気中150℃で保持したところ、TEM観察より一次元配列した球状ナノ粒子(2-3nm)および、そのナノ粒子が溶着して形成された直径2nm、長さ100〜150nmのナノワイヤーが生成したことが分かった。このように、カラムナー相を保持したまま還元して、金属錯体の自発的な配列をそのまま反映した金属ナノワイヤーを形成することに成功した。
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Research Products
(2 results)