2006 Fiscal Year Annual Research Report
液晶ナノ薄膜によるグラファイト・金属表面の潤滑に関する研究
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18710081
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐久間 博 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (20400426)
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Keywords | トライポロジー / 表面・界面物性 / マイクロマシン / メゾスコピック系 / 表面力測定 / 共振ずり測定 / レオロジー |
Research Abstract |
固体表面間の摩擦・摩耗の理解および制御は、効率的な動力伝達による省エネルギー化や部品の耐久性向上など工学をはじめとする幅広い分野において重要な課題である。本研究課題はナノ共振ずり測定を用い、グラファイト表面や金属表面間に潤滑剤(液晶)を挟み,ナノトライボロジーを直接評価し、低摩擦・低摩耗を実現する潤滑のメカニズムを解明を試みることを目的とする。 本年度は高配向性熱分解グラファイト(HOPG)表面間における液晶ナノ薄膜のトライボロジー直接評価を、ナノ共振ずり測定で行った。液晶はシアノビフェニル系液晶の4-cyano-4'-hexylbiphenyl(6CB)を用いた。測定チャンバー内の温度をそれぞれ24℃(ネマチック相)、34℃(等方相)に保ち、粘度、摩擦・潤滑特性を評価した。HOPG表面間距離(D)が遠い場合(D>500nm)の6CBの粘度は、回転式粘度計で測定したバルクの粘度を反映しており、等方相がネマチック相よりもやや高い粘度を示した。ネマチック相の場合、D<500nmになると6CBの共振ピークの高さが表面間距離の減少と共に減少し始めた。これはHOPG表面間に挟まれた6CBの粘度が表面間の距離の減少と共に増大したことを示す。さらにD<150nm以下で共振周波数が高周波数側に移動したことから、この距離から6CBを介して上下の表面が連動し、トラクション性が高まることがわかった。一方、等方相の場合はD=150nmまで共振カーブに変化はなく、D<150nmで共振ピークが急激に減少し、D=0nmまで共振周波数が変化しなかった。これは等方相の6CBがネマチック相と比べて、粘度が上昇し始める距離が小さく、またトラクション性も低いことを示す。 今後、さらに異なる表面、試料で測定を行うと共に、ナノ空間への液晶の閉じ込めおよび表面と液晶の相互作用が摩擦・潤滑に与える影響について考察する。
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