2006 Fiscal Year Annual Research Report
スピン制御ナノ構造の作製と実空間・電子状態測定法の開発
Project/Area Number |
18710092
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡林 潤 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (70361508)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 分子線エピタキシー / 初期成長過程 / 磁性ナノ構造 |
Research Abstract |
本研究では、分子線エピタキシー(MBE)装置と走査トンネル顕微鏡(STM)を装備した表面分析チェンバーを超高真空環境で結合した装置を駆使することにより、新しいスピントロニクスの要素材料・構造の創製とそのデバイス応用の可能性を探ることを目的としている。中でも、半導体GaAsと整合性の良い強磁性体MnAsに着目し、安定な六方晶ではなく、4配位閃亜鉛鉱型結晶の作製を試みた。そして、初期成長段階におけるバルクと異なる表面形状、電子状態についての知見を得た。 MnAsは、GaAs(001)表面上では、初期成長段階では、局在したMn3d電子状態であることを明らかにした。そして、1原子層目ではGaAsと同じ配位をとり閃亜鉛鉱型であることをSTMにより観測した。GaAsc(4×4)表面再構成におけるダイマー構造から、MnAs堆積に伴い、[1-10]方向に延びた島状構造へ変化していく様子を観測した。エレクトロンカウンティングモデルを用いて、MnAs堆積による欠損ダイマーの無くなった鎖構造を解析し、MnAs成長表面が1×2表面再構成をとる起源を検討した。 また、GaAs表面を硫黄終端した表面に、直径数10ナノメートルのMnAsナノドットの作製を検討し、表面形状をSTMにより観測した。特に、結晶成長時の基板温度によってナノドットの大きさを制御でき、今後、磁気輸送特性と電子状態との相関を明らかにする。 界面における原子配列、電子状態を観測する手法として、STMを応用した弾道電子放出顕微鏡/分光(BEEM/BEES)の開発に取り組んでいる。特に、プローブに用いる探針作製法を確立し、ノイズの低減を可能にした。これにより、今後、MBEにて作製した磁性体/半導体ナノ構造の界面原子配列制御、界面電子状態観測が期待できる。
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