2007 Fiscal Year Annual Research Report
有機ナノ粒子からの蛍光における光アンチバンチングの粒子サイズ依存性
Project/Area Number |
18710100
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
増尾 貞弘 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 助教 (80379073)
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Keywords | 光アンチバンチング / 単一光子 / 単一分子 / 単一分子計測 / ナノ結晶 / ナノ粒子 / 共役ポリマー |
Research Abstract |
本研究では、光アンチバンチングを示す有機ナノ粒子のサイズを解明することを目的とした。光アンチバンチングとはある時間に存在する光子数が1つのみとなる現象であさことから、光アンチバンチングを示す物質は単一光子発生源として働く。この単一光子発生源は、究極の暗号通信である量子暗号通信などの次世代量子情報技術に必要不可欠であるから、近年、単一光子発生源の探求が非常に活発に行われている。一般に単一発光性分子や量子ドットなど、いわゆる「単一量子システム」は光アンチバンチングを示すが、それらが複数集まって構成された集合体は示さない。では、どのくらいのサイズであれば光アンチバンチングを示すのか。この疑問を世界に先駆けて解明することを本研究の目的とした。 発光性分子として、3種類のペリレンビスイミド誘導体、および分子量が異なる3種類の発光性共役ポリマー(MEH-PPV)を用いた。再沈法により、これらのナノ結晶・ナノ粒子を作製した。光学顕微鏡下において、1粒のナノ結晶またはナノ粒子からの蛍光強度・蛍光寿命の時間変化、およびコインシデンス測定の同時測定を行い、その光アンチバンチング挙動を観測した。その結果、ペリレンビスイミド誘導体の場合、粒径が〜70nm程度の単一ナノ結晶・ナノ粒子は光アンチバンチングを示すことを見出した。また、分子の凝集状態に依存して、単一光子発生効率が変化することも見出している。共役ポリマーを用いた研究においては、サイズが〜20nm程度のナノ粒子を作製し測定したところ、このサイズ領域にあるほとんどの単一ナノ粒子は光アンチバンチングを示すことを見出した。また、分子量の異なる共役ポリマーを用いることで、ナノ粒子のサイズ依存性を観測したところ、サイズが小さくなるにつれて、単一光子発生効率が向上することを見出した。これらは、複数の分子が集まってできた集合体であっても、サイズをコントロールすることにより単一光子発生源として働くことを示した結果である。
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Research Products
(18 results)