2006 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ配線上でナノデバイスとして動作する平面分子の電気特性評価
Project/Area Number |
18710104
|
Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
田中 啓文 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 助教 (90373191)
|
Keywords | カーボンナノチューブ配線法 / PCI-AFM法 / 分子整流デバイス / 有機分子デバイス |
Research Abstract |
本年度は、さまざまな平面分子を合成し、SWNTに吸着させることによりn型半導体的挙動を示す分子を探索した。特にn型半導体の挙動を示す平面分子を探索するために、電子吸収型分子であるナフタレンジイミド系分子を合成した。合成した平面分子はN,N'-bis-(phenyl)-1,4,5,8-naphthalene diimide (Ph-NDI), N,N'-bis(nonyl)-1,4,5,8-naphthalene diimide (NO-NDI)及びN,N'-bis(octadecyl)-1,4,5,8-naphthalene diimide (OD-NDI)の3種類である。PCI-AFM法を用い伝導測定を行なった。PCI-AFM法にはこれまで測定中に不安定な挙動があったので、安定な測定が出来るよう測定条件を検討し、バンドル中の個々のSWNTが識別できるまでになった。改善された条件でPCI-AFM法を用いたところ測定対象に損傷を与えることなく電気測定を行なうことが可能となった。 これまで用いてきたポルフィリンと今回用いたナフタレンジイミドとは同じ平面分子ではあるが、π電子の電子状態が異なることから、SWNTへの吸着状態、SWNT上での電気特性は異なると考えられていた。しかしながら、実際にはポルフィリンの際と同じ整流挙動が観測された。これは、カンチレバー金属と分子の接触界面で分極が発生するが、その分極がポルフィリンとナフタレンジイミドで同じ方向で起きることに起因すると考えられる。更に強い電子アクセプター性を有する分子と仕事関数の小さい金属の組み合わせでは分極が反転するとの報告があることから、恐らく整流性も反転するのではないかと考えられ、今後の研究が期待される。また、冷却システム温度制御装置を用いて試料温度を変化させた際の伝導特性測定も行なったが、室温との優位な差は観測されなかった。
|
Research Products
(1 results)