2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内リン酸化シグナル網羅的解析を指向した質量分析検出型ペプチドアレイの開発
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18710111
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Research Institution | Kitakyushu National College of Technology |
Principal Investigator |
園田 達彦 北九州工業高等専門学校, 物質化学工学科, 助手 (30403992)
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Keywords | 細胞内シグナル伝達 / タンパク質リン酸化 / ペプチドチップ / 網羅的解析 / 質量分析法 / プロテインキナーゼ |
Research Abstract |
本研究では、ゲノム創薬における遺伝子機能解明や新薬探索を行うための評価指標として、様々な細胞機能を制御しているタンパク質リン酸化シグナルに着目し、このシグナルの担い手であるプロテインキナーゼ群の酵素活性を網羅的にアッセイできる質量分析検出型ペプチドアレイの開発を目的としている。具体的には、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF-MS)に搭載されたイオン化用レーザー光により切断される部位を持つ基質ペプチドを多数合成し、これらを固定化したペプチドアレイを作製する。これを細胞破砕液で処理し質量分析を行う。各ペプチドのリン酸化の割合をイオン強度比から算出し、得られたリン酸化パターンが細胞の状態を表す指標となり得るか検討する。 本年度の研究実施計画に基づき、まず始めにイオン化用レーザー光(335nm)の波長で切断され、かつペプチド合成で利用可能と思われる化合物の選定を行った.このうち、o-nitrophenylglycineについて合成を試みた.当初の予定よりも時間を費やすこととなったものの目的物の合成に成功した。現在、精製条件の最適化を行っている段階である。一方でアレイ作製方法に関する検討を進めた。N末端にシステインを導入したプロテインキナーゼAの基質ペプチドを合成し、これを評価に用いた。金基板への固定化は、アルキルアミンおよびグルタルアルデヒドを用いて表面に導入したアルテヒド基とN末端システインの反応による手法を採用した.リン酸化効率について検討したところ、N末端から数残基リンカーを加えることで効率が向上した.本年度は光切断化合物の合成が予定よりも遅れたため、質量分析に関する実験まで行うととができなかった。しかし合成に目処がついたこと、およびアレイの作製方法に関してはほぼ固まったことから、この遅れは来年度には取り戻せると考えている。
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