2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18710112
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
市川 正敏 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (40403919)
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Keywords | 光ピンセット / DNA / レーザー / ナノテクノロジー / 高分子 |
Research Abstract |
本研究は数十マイクロメーター以上の長さの巨大DNAを力学操作するのに適した手法としてレーザートラップを利用し、新たな操作手法の開発とその機構の解明を研究の目的とする。初年度はDNAがリアルタイム蛍光観察可能なレーザートラップ装置の開発を中心に研究を行った。初年度の成果として、巨大DNA分子を集光レーザーの局所加熱によって伸張させる事に成功した。伸張されたDNAは伸びきり長の約半分であった。幾つかの実験とシミュレーションにより、この伸張はレーザーの加熱によって発生する対流と熱泳動の複合的な効果である事が確認できた。直径1μm程度の焦点に集光されたレーザー光は水溶媒に僅かに吸収され、水溶媒の温度上昇をもたらす。この温度上昇とマイクロメータサイズの熱拡散の速度が釣り合い、焦点付近では10度以上の温度上昇が見込まれることが明らかになった。これによりサンプルチャンバー内に発生する熱対流と熱泳動が、共にDNAを伸ばす向きに働く地点でDNAが伸張される。シミュレーションにより再現された流線と実験に於けるDNAの挙動とは定性的に一致しており、現象を良く説明していると思われる。 一方で、同じサンプルチャンバー内で統合的に細胞内からDNAを取り出す手法も模索し、これまでに報告の無い新奇な細胞操作法を開発した。これまでのレーザートラップでは難しかった細胞の3次元的操作を簡易に行え、DNA等を取り出す際にも有用である事が示された。この操作手法は特許を出願している。
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