2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ加工スライドガラスを用いた次世代一分子イメージング法の開発
Project/Area Number |
18710113
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
谷井 孝至 Waseda University, 理工学術院, 准教授 (20339708)
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Keywords | 一分子観察 / ナノ加工 / 生体分子間相互作用 |
Research Abstract |
従来の一分子蛍光イメージング法では観察不可能であった、大きな解離定数を有する弱い生体分子間相互作用を観察できる次世代のイメージング法を開発することを目的として本研究を推進した。この新手法は、生体分子を固定するスライドガラスに金属のナノ開ロを配列形成し、そのナノ開口内に閉じ込められる近接場をプローブとして一分子同士の相互作用をリアルタイムで可視化する。すなわち、溶液中に浮遊する多数のタンパク質の中の1分子が、ナノ開口内に固定したタンパク質1分子と結合・解離する瞬間を観察可能にするものである。 (1)金属ナノ開口の形状とタンパク質の配置を工夫することにより、原理的に10μMの高濃度色素存在下で一分子イメージングできることを計算機シミュレーションにより明らかした。 (2)「金属ナノ開口形状とタンパク質配置」に関する2種類の実現方法を特許出願した。具体的には、金属ナノ開口の底部を掘り下げ、観察領域をニアフィールドではなく、ファーフィールドに配置することが、高いS/Nと信号強度を同時に獲得できる鍵となる。 (3)一分子蛍光強産とS/N比を実測し、1μMまでの高濃度色素存在下においては明瞭に一分子観察できることを証明した。これ以上の濃度においては、背景光ノイズが上昇しS/N比が低下し始める。 (4)シャペロニンGroELとコシャペロニンGroESをモデルタンパク質として用い、1μMの蛍光標識GroES溶液中でのGroEL-GroES間一分子相互作用リアルタイムイメージングに成功した。 (5)これまで提唱されていた、GroEL-GroES間の結合モデルに関する2つの相矛盾する定説、すなわち「フットボール型結合モデル」と「ツーストローク型結合モデル」に関して検証し、後者の妥当性を明らかにした。
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