2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18710117
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 雅晴 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (80361509)
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Keywords | マイクロチャネル / 過冷却現象 / 不斉合成 / 表面修飾 |
Research Abstract |
本研究課題は、現在大幅に進歩しているマイクロテクノロジーを駆使し、過冷却流体がマイクロチャネル中で安定に存在できるのかを解明すると共に、その物理的特性を活かした不斉合成反応への応用を目指したものである。 バルク空間とは異なり、マイクロチャネル内ではチャネル壁面の効果が大きいため、表面修飾により過冷却温度を制御できる可能性がある。水を溶媒とした場合、親水性表面では空間の大きさに関わらず過冷却状態での凝固が起こったが、疎水化処理した表面を有するチャネル内部では水の凝固は親水性表面の場合と比べ、さらに凝固点が低下したのみならず、チャネル幅250μm程度以下ではその効果が顕在化し、サイズ依存性も示すようになった。本現象を他の有機溶媒でも試みた結果、非プロトン性極性溶媒であるジメチルスルホキシドでは表面効果が小さくなり、非極性溶媒のシクロヘキサンや四塩化炭素では表面効果が殆ど発現しないことが解った。 マイクロチャネルは熱交換が非常に速やかに行なわれるため、シリンジポンプで溶液を導入したとしても速やかに過冷却温度まで到達し、過冷却流が実現できる。過冷却中での合成プロセスはフラスコ内では実現不可能な系であるが、マイクロチャネルを用いれば過冷却合成プロセスが連続流下で実現できる。不斉合成反応により過冷却流プロセスの有用性を検討した所、アミノ酸を不斉触媒としたジメチルスルホキシド中でのアルドール反応、及びキラル相関移動触媒を用いた水/有機溶媒混在系での不斉アルキル化を検討したところ、何れの系に於いても過冷却下で反応が進行した。反応温度を下げることにより目的物のエナンチオ選択性がより向上することを見いだし、バルクでは行なえない過冷却流プロセスが、合成反応にも適用可能であることを明らかにした。
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