2006 Fiscal Year Annual Research Report
光の力学作用を用いた極微光化学反応場の構築とマイクロファブリケーション
Project/Area Number |
18710119
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊都 将司 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (10372632)
|
Keywords | 光ピンセット / レーザーマニピュレーション / 放射圧 / 光重合 / マイクロ光造形 |
Research Abstract |
光硬化性樹脂の局所的な光重合反応に放射圧を作用させると重合反応の空間選択性が格段に向上することを近年見出した。そのメカニズムの解明のため、(1)光圧発生用近赤外レーザー光の吸収に伴う樹脂・溶液の温度上昇度の定量的評価及び(2)近赤外光の放射圧が分子の並進拡散に与える影響の調査に主眼をおき研究を遂行した。目的達成のため、研究室自作の蛍光相関分光システム(励起光波長488nm)に近赤外レーザー(Nd: YVO_4レーザー)を組み込み、近赤外レーザー光の集光スポット内部の蛍光分子の拡散挙動を観測可能なシステムを構築した。水、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、エチレングリコールにプローブとして低分子量の蛍光分子(Rhodamine6G、Rhodamine 123)を溶解させ試料とし、近赤外光照射下での蛍光相関分光測定からプローブ分子の拡散速度の近赤外光強度依存性を得た。オストワルド粘度系で測定した各溶液粘度の温度依存性とStokes-Einsteinの関係式から近赤外レーザー光照射下での局所温度を決定したところ、各溶媒の温度は入射近赤外レーザ光強度に対して線形に増加し、また単位レーザー光強度あたりの温度上昇度ΔT/ΔPは、溶媒の吸光係数αと熱伝導率λとの比α/λに対して線形に増加すること、及びその空間分布は観測時間内では集光位置近傍数脚の範囲ではほぼ一様であることが分かった。また項目(2)に関して、蛍光標識された種々の分子量のDNAを用いて放射圧下での蛍光相関分光測定を行ったところ近赤外レーザー光強度の増加に伴う平均分子数の増加が見られ、ストークス半径が数〜10nm程度の高分子においても放射圧の寄与により局所濃度が上昇することを示唆する結果が得られた。
|
Research Products
(6 results)