2007 Fiscal Year Annual Research Report
光の力学作用を用いた極微光化学反応場の構築とマイクロファブリケーション
Project/Area Number |
18710119
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊都 将司 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (10372632)
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Keywords | 光ピンセット / レーザーマニピュレーション / 光放射圧 / 光重合 / マイクロ光造形 |
Research Abstract |
集光紫外レーザー光による誘起される局所的な光重合反応に放射圧を作用させると重合反応の空間選択性が格段に向上することを近年見出した。そのメカニズム解明のため放射圧発生用近赤外レーザー光の吸収に伴う樹脂・溶液の温度上昇度の定量的評価法を本研究初年度に確立した。本年度は、蛍光相関分光法(FCS)および計算機シミュレーションを用いて、近赤外光の放射圧が分子の並進拡散に与える影響を定量的に評価した。塩基数(即ち分子量)を変化させた一本鎖DNA数種類に対して水溶液中で近赤外レーザー光の放射圧を作用させ、放射圧ポテンシャル中のDNA分子数、分子が放射圧ポテンシャル中に滞在する平均の時間(平均滞在時間)の変化をFCSにより測定した。その結果、近赤外レーザー光強度の増加と共に平均分子数の上昇か確認され、その上昇度は分子量に依存した。一方、平均滞在時間は近赤外レーザー光強度の増加と共に減少した。この一見相矛盾する結果を理解するため、ブラウン動力学法に基づくプログラムを開発し、放射圧下の蛍光分子に対して得られる蛍光相関波形をシミュレートした。その際、初年度の研究で得られた、水の近赤外光吸収に起因する局所的な温度上昇を考慮しシミュレーションを行ったところ上記の実験結果を再現した。また、シミュレーションと実験結果を比較することで、塩基数数十個程度の一本鎖DNAには0.1〜0.5kT_R(T_R=297K)程度の放射圧ポテンシャルが作用していることを明らかにした。本成果により分子系に働く放射圧の定量的評価が可能となり、初年度の局所温度測定法と合わせ、重合反応に対する放射圧効果を定量的に解析するための有効な手法が確立できた。
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Research Products
(7 results)