2006 Fiscal Year Annual Research Report
量子輸送理論に基づくナノ構造デバイスにおけるキャリア輸送シミュレーション
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18710123
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
江崎 達也 Hiroshima University, 大学院・先端物質科学研究科, 准教授 (30403603)
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Keywords | 量子輸送 / ナノデバイス / デバイスシミュレーション / 非平衡Green関数法 / 準弾道輸送 |
Research Abstract |
量子輸送シミュレーション技術の開発過程において、3次元構造等の複雑な構造の取り扱いが必須である。これは、例えば2次元デバイスシミュレーションでは、ある一方向(MOSFETでは幅方向)に無限の大きさを仮定するため、ナノオーダのデバイスにおける原子の位置の情報が平均化され、ナノデバイスの電気特性を正しく得られない可能性がある。このような背景から、量子輸送理論に基づくキャリア輸送シミュレーションを行うために、原子レベルのデバイス構造を取り入れることができる3次元デバイスシミュレータを構築した。本シミュレータでは、非平衡Green関数法によりキャリアの量子輸送の計算を行う。なお、電子間の相互作用は考慮されているが、フォノン散乱等の非弾性散乱は組み込まれていない。そのため、準弾道的な輸送計算となっている。また、電流はランダウアー・ビュティカーの方法を用いて計算する。この方法では、ソースとドレインのFermi準位の間に存在する量子チャネルを独立に流れる電流の総和を計算して全電流を求めるため、量子準位間で電子は遷移しない。ナノオーダーのチャネル長デバイスでは、散乱頻度が少ないことから、上記の手法を用いることができる。 平成18年度は、原子レベルで量子輸送を計算するシミュレータを導入した。
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