2006 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ/化合物半導体複合単一電子デバイスの開発
Project/Area Number |
18710124
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
森山 悟士 独立行政法人理化学研究所, 石橋極微デバイス工学研究室, 基礎科学特別研究員 (00415324)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 量子ドット / 単電子デバイス / 人工原子 / ゼーマン分裂 / 電子スピン |
Research Abstract |
本研究の目的は,カーボンナノチューブ(CNT)量子ドットをGaAs/AlGaAs 2次元電子ガス基板上に作製することによって,2次元電子ガスの機能性と,CNTによって作製される良質な量子ドットの特性の両方を生かした複合デバイスを開発することであった。その結果,本研究において,GaAs/AlGaAs 2次元電子ガス基板上にCNT量子ドット素子を作製することに成功し,2次元電子ガスを,量子ドットの静電ポテンシャルを変化させるゲート電極として用いることによる,CNT量子ドットの単電子トランジスタ動作に成功した。この結果は2次元電子ガスの系であるHEMTデバイスとナノチューブデバイスの複合デバイス実現のための第1歩であり,基板材料の機能性を組み合わせた複合デバイス化によって,ナノチューブデバイスの機能は格段に広がることが期待できる。 また素子に磁場を印加することによって2次元電子ガス上に量子ホール状態を形成し,容量的に結合したCNT量子ドットによってプローブすることができた。そして,並行してカーボンナノチューブ単一量子ドット単体での詳細な物性研究も行い,量子ドット中の全電子スピン状態の決定,およびパルス励起電流測定システムを従来の測定システムに組み込むことよって単一電子スピンの緩和時間の測定にも成功した。極低温での単一電子輸送特性とその磁場依存性から,量子ドットを流れる電流によって電子スピン状態を決定,そしてパルス励起電流によるゼーマン分裂の観測に成功し、単一電子スピンの緩和時間が1マイクロ秒以上あることを実験的に示した。これらの結果は,CNT量子ドット素子中の単一電子スピン状態を利用した量子情報処理デバイス実現の可能性を示すものである。
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