Research Abstract |
本年度は次の3つの視点において品質保証を実現するためのアプローチについて考察した。 製品検査品質を保証する直接的な方法として検査法がある。前年度においてTaguchiの方法による製品品質自体に関する経済性評価法をもとに,経済性基準に基づく品質検査法を開発した。本年度においてこれを拡張し,より一般的な定式化を試みた。一方,検査特性として寿命を想定する検査が存在する。これは,信頼性試験と呼ばれ,破壊試験を前提とするため,より少ないサンプルを有用に活用するべく統計的方法が極めて重要な役割を果たす。本研究では,サドンデス方式による信頼性試験の新たなモデルを提案し,その設計法を開発した。 工程管理工程を管理するための管理図法のうち,時系列管理図について考察した。特に,工程異常に対して,過去に蓄積されたデータ群が与える効果の程度について,コンピュータシミュレーションを通じて検証した。一方,管理図を運用するにあたってその経済性は重要な基準となる。本研究では,サンプル・サイズ,調査間隔,ロット・サイズによる管理図の経済的運用政策について検討し,これを導出するための決定アルゴリズムを提案した。 物流管理近年では,サプライ・チェーン全体の視点に立って,構成要素をなす各事業体での活動を効果的に統合,あるいは合理化し,経済性の向上を目指すサプライチェーンマネジメントの概念と各種方法論が極めて大きな関心を集めている。昨年度に引続きリードタイムの短縮のための設備の並列化の有効性について検討し,モデルのより一般的な定式化を試みた。このとき,近年のリバースロジスティック環境における再利用製品の流れをモデルに組み込み,モデルの構築とあわせて,その経済的運用法について検討した。また,事業体間を移動する中間製品の品質を考慮し,これが与える影響について考察した。
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