Research Abstract |
本研究では, 離散最適化問題に対する効率的なアルゴリズムを構築する鍵となる離散凸構造を究明していくことを目的とした. 離散最適化問題は, 生産計画, ロジスティクス, システム設計, ファイナンスなどの様々な応用分野で現れるが, 最適解を効率的に求めることは多くの場合に困難であることが知られている. 離散凸構造を基礎として, 効率的な離散最適化アルゴリズムを開発した. そしてその結果を, 顧客情報を管理し, 顧客の維持や関係強化を行い, 派生需要・潜在需要を創出するマーケティング戦略で, 市場の成熟化・ニーズの多様化により重要視されているCRM(顧客関係管理)に適用していくことを目的とした. 応用においては, 理論的な計算量による評価だけでなく, 実装時の実際の速さ, 使いやすさが要求される. そこで本研究では, 離散凸関数を実用的に高速に最小化することを主眼においた連続緩和アルゴリズムを開発した. 離散L凸関数,離散M凸関数,離散準L凸関数に対して, 開発したアルゴリズムの効率の良さを保証する近接的理を導くことができた. 実装実験で, 既存研究により提案されたスケーリング法などに比べて, 実用的に高速に最小化できることが示せた. さらに, 今後の応用を想定して, 開発したアルゴリズムを広く一般に利用してもらえるよう. 離散凸最小化ソルバーとしてソフトウェアの公開・配布も行った. 前年度の研究に基づき, 離散最適化問題に対するアルゴリズムの枠組みを提案するとともに, これまでの研究結果を論文誌や学会にて発表した.
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