2008 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク形成問題に対する工学的手法の開発と形成メカニズムの解析
Project/Area Number |
18710138
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松林 伸生 Keio University, 理工学部, 講師 (00385519)
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Keywords | ネットワーク形成 / ゲーム理論 / ネットビジネス / 寡占競争 / サプライチェーン / 外部性 |
Research Abstract |
本年度においては具体的に以下の2つの点に焦点を当てて研究を行った。 (1) 企業間の戦略的提携ネットワーク形成に関する解析 (2) ロングテール市場におけるサプライチェーン・ネットワークの戦略的形成のための意思決定モデルの開発に関する基礎的研究 まず(1)については、前年度の研究成果を受け、各企業間の代替性の程度と提携時に生じる外部性の程度に応じて、各企業の提携戦略と均衡ネットワークがどのようになるかということを解析した。特に今年度は、代替性や外部性の程度が各企業間で非対称であるケースについて重点的に解析した。これは現実的な設定である一方、対称なケースに比べて非常に複雑な数学的解析を伴うものであった。しかし、数値シミュレーションを併用することにより、非対称な状況下では対称な状況下に比べてより提携行動が合理的となりやすいとの重要な知見を得ることができた。 また、本研究課題の最終年度となる今年度は、研究課題終了後の将来的な研究の展開を見据える形で(2)の研究についても取り組んだ。ロングテール市場に関する研究はまだ緒についたばかりであるが、従来型市場とは製品種類数のオーダーが異なるという特徴を踏まえることが本質的となる。いくつかのモデル分析を通じて、企業は製品種類数が膨大になることに伴う消費者の混乱(情報処理能力の限界)を考慮し製品数を最適化することが得策であり、またそのような混乱を軽減させるための技術開発が最優先であるとの示唆を得ることができた.ゆえに、将来的にはこの知見を盛り込む形で戦略的ネットワーク形成のためのモデル開発を進める必要があろう。 以上の結果は、いずれも既に国内論文誌(日本経営工学会論文誌)並びに図書(Game Theory : Stfategies, Equilibria, and Theorems)に掲載されており、さらに3本の論文が現在審査中という状況である。
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