2006 Fiscal Year Annual Research Report
超大規模な半正定値計画問題に対する効率的な並列計算の実装
Project/Area Number |
18710141
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
山下 真 神奈川大学, 工学部, 特別助教 (20386824)
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Keywords | 半正定値計画問題 / 数理最適化 / 並列計算 / 量子化学 / 大規模 |
Research Abstract |
半正定値計画問題は、線形計画問題を含む錘計画問題では最も適用範囲が広く、構造安定化や組み合わせ最適化問題、量子化学など幅広い分野に応用を持っており、数理計画の分野でも特に重要な数理計画問題のひとつと考えられている。しかしながら、量子化学の電子構造計算やロバスト構造最適化などを半正定値計画問題に定式化すると、その問題の複雑な構造を反映して長大規模なものとなり、既存の単体CPUで解くことは不可能であった。 これまでに実装してきた並列ソフトウェアSDPARAは、量子化学などの複雑な応用に十分適用可能な数値精度を保証した中では、最大規模の半正定値計画問題を解いてきた。特に、量子化学における超大規模な半正定値計画問題に関する結果は、数理計画分野では世界最大規模の学会であるInternational Symposium on Mathematical Programmingにおいて2006年7月に、また日本の数理計画分野の主要な発表の場であるRAMPシンポジウムにおいては2006年10月に発表を行った。 また、並列計算では大規模な計算を行うため、あらかじめその計算時間の見積もりを行えることが望ましい。2006年度はこれらの見積もりのための数学モデルの基礎研究を行い、すでに実装段階にある。この数学モデルでは、錘計画問題のひとつである二次錘計画問題を用いており、これを半正定値計画問題に帰着することで見積もり計算を行っている。つまり、半正定値計画問題の求解の計算所要時間を半正定値計画問題を用いて行う、という入れ子構造になっている点が興味深い。これと平行して、半正定値計画問題の主要な応用のひとつとなりつつあるcopositive programmingに関しても、copositiveな錘のもつ数学的性質について研究を進めている。
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