2007 Fiscal Year Annual Research Report
自己選択型差別料金制度を活用したETCによる高速道路混雑緩和に関する研究
Project/Area Number |
18710142
|
Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
鈴木 崇児 Chukyo University, 経済学部, 准教授 (70262748)
|
Keywords | 社会システム / ETC / 自己選択型料金 / 道路混雑課金 / シミュレーション / 交通ネットワーク均衡 / ネットワーク産業 / 交通制御 |
Research Abstract |
都市圏におけるピーク時の高速道路混雑緩和は、その社会的重要性は認識されて久しいものの、一向に改善されない課題の一つである。近年、ETC: Electronic Toll Collectionの導入によって料金徴収に関わる渋滞は緩和されたが、その効果は依然として料金所付近の局所的なものに過ぎず、高速道路網全体の混雑緩和には繋がっていない。また、ETCを利用を前提とした普及を促進するための各種の高速道路割引制度が実施され、これらが原因であると思われる新たな混雑も生じている。 本研究では、現実に実施されているETC通勤割引制度を含む現行の高速道路料金体系を自己選択型差別料金制度、すなわち、ピーク時とオフピーク時で差別化された料金体系と通常の走行時刻によらない定額料金体系の中から利用者自身が料金体系を選択する制度として捉え、高速道路利用の効率性についてシミュレーションを含む分析を行った。 その結果、既存の混雑料金理論では指摘されてこなかったピーク時間での割引を実施しているにも関わらず、混雑水準が上昇しない状況を自己選択型料金制度の導入が生じさせるケースがあること、また、その条件を解析的に導出した。 これらの成果を応用地域学会で報告したところ、本質的な成果とは異なる部分でモデルの不整合性が指摘されたため、その修正に多くの時間を費やすこととなった。本年度の終盤はそれらの課題を克服し、その成果をロンドン大学の交通研究所で発表した。現在、論文投稿先を検討中である。 一方、シミュレーションを使った交通状況のビジュアライゼーションに関しては、上述の理由により大きく研究を進展させることができなかったが、交通シミュレータに入力するデータを揃え、ソフトの挙動を検討し、本研究の応用に向けた準備を行った。
|
Research Products
(2 results)