2006 Fiscal Year Annual Research Report
地震動パラドックス解明のための最適震源モデルの構築
Project/Area Number |
18710151
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三宅 弘恵 The University of Tokyo, 地震研究所, 助教 (90401265)
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Keywords | 地震動 / 断層 / 震源 / 強震動予測 / アスペリティ / スケーリング / 地表断層地震 / 地中断層地震 |
Research Abstract |
本研究課題では,地表断層地震と地中断層地震の震源近傍の地震動強さが周期1秒付近で逆転する地震動パラドックスについて,震源サイドの動力学的な原因を定量的に明らかにすることを目的としている.そして,地震動パラドックスが再現可能な震源のモデル化手法を構築し,断層パラメータの物理的な上限を明らかにすることによって,地震動の上限値について考察する. 断層近傍の地震動は果たしてどこまで大きくなることができるのだろうか?地震学では,地震の規模が大きくなると断層面積やアスペリティ面積が大きくなる,いわゆる地震のスケーリング則が広く知られている.しかしながら,Mw6.7-7.0クラスの地中断層地震から生成される周期1秒付近の地震動レベルは,Mw7.2-7.6クラスの地表断層地震から生成されるそれよりも大きいという,興味深い現象が報告された.この地震動パラドックスは,小地震から大地震を単純につなぐ従来のスケーリング則だけでは,地震動のローカルな逆転現象が説明できないことを意味している.しかも,仮にこの現象が真であるならば,Mw7.0の地震から生成される断層近傍の地震動が一番大きくなることになる. 平成18年度は,1999年トルコ・コジャエリ地震(地表断層地震)・1992年米国・ランダース地震(地表断層地震)・1996年米国・ノースリッジ地震(地中断層地震)・1997年日本・鹿児島県北西部地震(地中断層地震)などを対象として,震源近傍の地震動記録および工学的基盤相当の地震動記録強さを調査し,地震動パラドックスの仮説の有効性を検討した.また,研究進行中に発生した,Mw6.7-7.0クラスの地中断層地震に相当すると考えられる2005年福岡県西方沖地震についても,考察を行った.
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