Research Abstract |
わが国は,急峻な地形を有し,脆弱な地質で構成されている.また,地震が多く,台風や集中豪雨に見舞われやすいという気象条件を持つ.このような背景から,毎年のように土砂災害が多発しており,その対策に多くの力が注がれている.そこで本研究では,2004年福井豪雨を事例として,福井県丹南地区における土砂災害のソフト的な対策支援を目的とした地理情報システムの構築を行う. 平成18年度は,ALOSデータを用いた斜面崩壊の検出および現地調査,広域での災害特性分析を実施するためのデータベースの準備,地形・地質・植生に関する災害特性分析を実施した.これまでに得られた結論を以下に示す. (1)崩壊箇所の検出は,可視域赤のレベルスライス処理を行うことで崩壊箇所を正確に検出することができた.なお,検出結果は,現地調査の結果とほぼ一致した. (2)北海道地図発行の10mメッシュDEMを用いて地形に関する土砂災害の特性分析を行った結果,崩壊箇所に関しては,「30から35゜」の斜面傾斜角が最も頻度が高かった.また,地すべり地形については,「25から30゜」の頻度が最も高かった. (3)地質調査所発行の1:200,000地質図を用いて地質に関する土砂災害の特性分析を行った結果,崩壊箇所および崩壊箇所地すべり地形のほとんどが,「陸上-水底安山岩溶岩及び火山岩」であった. (4)植生に関する土砂災害の特性分析を行った結果,対象域全体,崩壊箇所,地すべり地形ともに,「スギ,ヒノキ,サワラ植林」が最も多かった. 平成19年度は,災害特性分析結果を用いた土砂災害(斜面崩壊,地すべり)の危険度評価を実施する.さらに,最終的には住民の避難支援や砂防ダム建設の優先順位決定に有用な土砂災害対策支援GISを構築する.
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