2006 Fiscal Year Annual Research Report
定点連続観測と地表面計測の融合による地すべり土塊の移動-変形機構の解明
Project/Area Number |
18710158
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
岡本 隆 独立行政法人森林総合研究所, 水土保全研究領域, 主任研究員 (30353626)
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Keywords | 第三紀層地すべり / 地上型レーザ計測 / 移動 / 変位 / 変形 / 動態観測 |
Research Abstract |
1.計測方法 新潟県上越市の伏野峠地すべり試験地を対象として、地上型レーザ計測を用いた地表面変位分布の現地計測を複数回実施した。計測に先立ち、地すべり活動の比較的活発な中部ブロックおよび下部ブロックにて5m刻みのメッシュおよび300点のメッシュ交点を設定した。この全交点に移動杭を打設したうえでその三次元座標を計測した。計測に当たっては移動杭先端に取り付けた球状の計測球を測り、逆算によって地表面の位置座標を求めた。計測は10月および12月の2回実施し、両期間の間に生じた地すべり地表面の変位方向、変位量を求めた。 2.結果と考察 求められた結果は以下の通りである。まず水平方向の変位については、全300点の地表面変位量は最小1mm-最大456mm、平均42mmとなった。変位方向は主として斜面下方に向けてやや「く」の字を描くように緩く屈曲しており、これは地すべり土塊の周辺地形に規制された運動を表していると考えられた。また下部ブロック末端のガリー付近では、地表面の一部がガリー方向へ大きく引っ張られるような大変位が認められた。この動きは地すべり全体の動きから独立していることから地すべりの全体的な動きを示すものではなく、地すべり土塊が細分化していく過程における予兆的現象と捉えることができた。 次に鉛直方向の変位は、最大+34mm、最小-169mm、平均-3mmで全体としては沈下傾向にあった。しかし中部ブロックの末端および下部ブロックの中央では、斜面方向に直交する隆起帯が認められた。隆起帯の幅は15-20mで、沈下帯と隆起帯が交互に現れていることが確認できた。
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