2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト染色体間の相互作用情報の抽出と染色体の核内配置との関連性に関する研究
Project/Area Number |
18710159
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小柳 香奈子 Hokkaido University, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (20362840)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 進化 / 染色体 / 核内配置 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒトゲノム情報解析から染色体間の相互作用を示す情報を抽出し、核内における染色体の核内配置との関連性を検証することである。本研究では、染色体間の相互作用を示す情報として、ヒトゲノム中にみられるプロセス型偽遺伝子・転位因子・染色体分節重複の染色体間の偏りに着目することとした。 相互作用情報の抽出をするにあたり、染色体の核内配置が進化の過程で変化し得ること、ヒトゲノムの塩基置換率は領域ごとに異なり得ること、の2点の理由から、より精度の高い解析を行う目的で、材料をヒトとチンパンジーの種分岐後に起きた染色体相互作用情報に絞って、解析を行うことにした。このために、ヒト・チンパンジー・マカクゲノムの高精度マルチプルアラインメントを作成し、分子進化解析に基づいてヒトとチンパンジーのオーソロガスなゲノム領域を同定する方法を新たに開発した。この方法により、信頼性の高い種特異的重複領域(転位因子・染色体分節重複を含む)を同定することが可能となった。同定されたこれらの重複領域の染色体間の偏りを検出し、核内配置との関連性の検証を行った。尚、研究の過程で、プロセス型偽遺伝子は本研究の目的には適さない材料であることが示唆されたため、新たな材料の再検討も行った。 新たに開発したオーソロガスなゲノム領域の同定方法は、種特異的重複領域を高精度に同定できるだけでなく、染色体再編成が起きている染色体上の領域の検出等も可能であり、染色体の核内配置との関連性の研究に限らず、広く比較ゲノム解析に応用されることが期待される。
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Research Products
(1 results)